失業

「ここは長く続かないだろうな」と肌で感じつつも、仕事を続けていたある日のこと、タイ人オーナーから「話がある」に呼び出されました。また「材料費を削れだの細かいことなんだろう」と思っていたら、なんと「給料を減らす」と宣告されたのです。お店の経営があまり思わしくないことと、私に対してここまで高い給料を払うのはおかしいというのが相手の言い分でした。

私はこの当時6万バーツの給料で雇われていました。一方タイ人コックは責任者でも2万バーツといった状態です。多くも2万5千バーツでしょうか。2万5千バーツというのはかなりの凄腕と考えて間違いありません。

さらにこんなこともいわれました。

「あなたを雇うなら日本食を作れるタイ人コックを2人雇うことができる」と。まあそのとおりの話です。

日本人からしたら6万バーツは少ないと思う人も多いかと思いますが、タイ人の給料は月収1万バーツの世界であり、料理人についてはかなり多め設定となっています。普通のタイ人からみると6倍もの金額は破格というわけです。

私の生活レベルと考えるとさすがに2万5千バーツはキツイので仕事をやめる旨、伝えました。

このころ日本人オーナーは体調を崩し、前面でお任せ状態だったのでフォローも何もありませんでした。日本に帰国し入院しているという状況なので文句のいいようもありません。

とにかくこのタイ人オーナーは大嫌いだったので、もう頭を下げるつもりもありませんでした。

またこの流れから行くと、そんなに遠くない日にこの店はつぶれるだろうと思っていました。案の定、私が去ってから新たにタイ人コックを雇ったそうですが、半年も持たずに閉店にいたりました。

料理人でバンコクに就職したいといった人は、こうしたお店の出入りの激しさについても理解しておく必要があります。またタイ人オーナー問題は、多く聞かれるトラブルです。日本人でもちょっと変わった人が多いのもバンコクの姿といえます。